日本の常識は日本だけの常識

イギリスに住みはじめて1ヶ月が経過しました。

非常に学びが多い毎日を過ごしています。日本では気づかないことだらけです。

虹の中にいるときは自分が虹の中にいるとは気づかない、といいますが、それと同じで、外国に住んでいる今、日本にいたとき以上に日本について学んでいます。

いくつか列挙してみたいと思います。

まず、日本は非常に物価が安く、なのにサービスも品質も良すぎると気づきました。

日本人は「苦情が多い」人々であると聞いたことがあります。
もしイギリスの常識的なレベルのサービスを日本で提供したら、苦情が殺到するのではと思うことが多いです。

あと、「港区は家賃高い」とか言いますが、高くないです。ロンドンに比べると…

また、ストライキで電車が止まって、家に帰ることができなくなる、なんてあり得ませんからね、日本では。

あとは、日本はレストランのレベルが高すぎます。
大戸屋やガストがロンドンにあったら、大行列ができると思います。安いし、美味しいし。
ロンドンでは大戸屋レベルのご飯が食べたかったら、25ポンドは出さなくてはなりません。

他に細かいことを述べるなら、日本で一般的な調理器具がないということ。
たとえば、菜箸。売っていなくて、アジアのスーパーマーケットを渡り歩きました。菜箸は料理の基本だと思っていたのに。西洋では使わないらしい。

あとは、コーヒーをハンドドリップして飲むことも非常に稀なようで、ドリッパーも紙フィルターもほとんどどこにも売っていません。フィルターコーヒーを飲みたい人は、マシンを購入するようです。そもそもスタンダードなコーヒーはブラックコーヒーではなくカフェラテのようです。

あと、東京は相当に「冷え切った街」かもしれません。

イギリス人はロンドンを”cold”と表現します。
人がフレンドリーではなく、お互いに無関心であるという意味であるようです。

ロンドン以外の地域では、レストランや公共交通機関などで会話をするようです。
ロンドンではこれがない、と。

たしかにロンドンは移民が多く、英語が通じない人も多いです。
わたしのフラットの大家さんは英語ネイティブではないのですが、carbon monoxide detectorが通じなかった。ちょっと心配なので、購入しようかしらと検討中。

カフェとかでオーダーするときも、英語が通じにくいこともあります。
ロンドンは民族・人種・宗教・信条など非常にグローバル。

だから、隣の人に話しかけても、言葉が通じなかったり、話が合わなかったりする可能性が大いにあるため、ロンドンの人は「他人に無関心」という印象を持たれているかもしれません。というのが私の結論。

しかし、それでも東京に比べると相当に人が温かい。

最近、日本人数人と駅の改札の前で、「次の電車まで17分待ちなので、隣駅まで歩こうか」と話していました。

その様子が、迷っているか、困っているかに見えたのだと思います。
通りがかった若い女性が「大丈夫?」と声をかけてきました。

これは東京ではありえない。
こちらから声をかけなければ、相当に困った様子でないかぎり、だれも助けてくれません。
というか、相当に困った様子だったら、さらに訝しがられて避けられかねない。だれもが面倒ごとに巻き込まれたくないですからね。

お互いに無関心。いい意味でも悪い意味でも。

鹿児島に帰省したとき、上京したあと地元に戻っている友人が「鹿児島でジョギングしていると、近所に自分がダイエットしているのではないかという噂が知れ渡る。東京の距離感が恋しい」というような愚痴をこぼしてました。無関心は無関心でプラスな側面もあります。

一方、東京は非常に孤独ないし孤立した社会なのかもしれません。
東京に住んでいたとき、真上の部屋で人が死んでいたことを全く知らなかったという記事も書きました。

孤独や孤立にはメリットもあります。わたしもいくらかの孤独を愛する派です。
興味深い考察が、森博嗣著『孤独の価値』(幻冬舎新書)で論じられています。良書です。

ボルテールが “Common sense is not common.” という言葉を残しています。
常識は、実際はそれほど共通なもの、共有されているものではない、という意味ですね。
Commonという言葉を掛けていてウィットの効いているため好きな言い回しです。

この言葉の解釈は多々あると思いますが、イギリスの1ヶ月で学んだのはCommon sense is not common.だなということ。そして、common senseに囚われたり縛られたりせずに、物事を広い視野を以てして俯瞰することができるのは重要なのだなということです。

コメント

  1. 興味深いブログ拝見しました。海外に出て、日本が良く理解出来る、その通りですね。私もアメリカに留学して、日本の良さ実感しました。ロンドン滞在時も同じ体験しました。common sense is not common、名言ですね。とらわれずに考える、また一つ勉強になりましたね。りなさん、ありがとうございました。

  2. ブログ再度拝見。ドイツ駐在時、ドイツ人の働き方には驚きました。残業しませんね。駐在時の上司は毎日残業してました。私もつられ残業しました。夜は日本人同士、飲みに行きました。中華に良く行きましたね!時には韓国レストランに行き、東京本社は、奥州事業理解していないと同意し、お開きでした。奥州事業統轄部長は、毎月本社に行き、役員と打合わせしてました。ドイツに戻るとあれてました。当時チェコの売掛金回収が上手く行かず、本社の叱責受けてました。私はイギリス担当でしたので、東欧担当者の苦労を横目に見て、ロンドン出張してました。まあロンドン駐在前の一コマでした。日本社会の一面ですね!日本の奥州事業はどこも課題があったと思います。その後私もロンドンに渡り、前線で苦労することになります。りなさん、お疲れ様です。ブログまた拝見します。いつもありがとうございます。