昨日はイギリス人の友人をフラットに招いて日本食でおもてなししました。
ロンドンでは、おいしいものをレストランで食べようとすると高すぎるので、お互いの家に招いて手料理を振る舞うのが一般的なのだろうと理解しています。というわけで、わたしもやってみました。
日本でも田舎ではこういう文化は残っていますが、若者の間では珍しいのではないでしょうか。学生の宅のみ、鍋パ、タコパを除いては。イギリスでは仕事が終わるのが早くて、料理をする時間があるのも、人を家に招いてディナーをする習慣がある理由でしょうね。
そういえば、カナダでもけっこうゲストを招いて夕食している印象だったので、欧米文化全般こうなのかしら。
まあ、ともかく、日本食を振る舞ったのですが、作ったのは焼きうどんと親子丼です。手抜きですね。
しかし、まあこれが好評でした。親子丼は10段階評価で8.5と言われました。なんて舌が肥えていないんだイギリス人…… わたし的には4.5くらい?
写真は(いつもの如く)取り忘れたので、数週間前に自炊したときのものを貼っときます。
左に添えているのは、tender stem broccoli、和訳すると「柔らかい茎のブロッコリー」。何てネーミングセンスないんでしょうね。
しかし、tender stem broccoliはイギリスに住みはじめてから一番気に入っている野菜かもしれない。いろいろな料理に添えるのにちょうど良いんですよね。普通のブロッコリーと比べて味付けも調理もしやすい。
イギリスにも普通のブロッコリーはあるし、こちらの方がメジャーです。しかし、だいたいどこのスーパーにもTSB(スペルを打つのが面倒くさいため略記)は売っていて、値段は1束10本くらいだと2ポンド程度。ちなみにこれは普通のブロッコリーの値段の倍です。
TSBの味は普通のブロッコリーとほぼ同じです。というか、ブロッコリーの味をどう感じるかというのは遺伝的に決定するので、人によって味の感じ方は異なりますね。わたしはブロッコリーは無味だと思っています。
ブロッコリーにはグルコシノレートという成分が含まれているのですが、この物質の味は舌にあるhTAS2R38味覚受容体というところで感じます。
この味覚受容体を作る遺伝子には2種類あって、グルコシノレートの味を苦く感じるPAV型と、味を感じることのできないAVI型に分けられます。
ジョージ・ブッシュ(のどちらか)が大統領になったとき、「ブロッコリーが嫌いだ。子どもの頃に母に食べさせられたときからずっと嫌いだ。私はアメリカの大統領になった。だからもうブロッコリーを食べるつもりはない!1」と言って、ホワイトハウスのメニューからブロッコリーを抹殺したらしいです2。子どもだなあ。
そう、子どもがPAV型の遺伝子をもっていてブロッコリーを拒否する場合は、本当に苦くて食べられない場合が多い。しかし、親がAVI型の遺伝子を持っている場合にはその苦さがわからないため、子どもがなぜブロッコリーを食べたがらないのかがわからない。
わたしにとってブロッコリーは無味な野菜なのですが、食感が好きなので、好きなように味付けして楽しんでいます。
イギリスではそれなりのレストランに行かないかぎり、自分の自炊が一番美味しいですね。昨日も日本食レストランに行ったのですが、正直、費用対効果でdisappointmentだった。しかし、日本語は通じました。
東京でひとり暮らししていた時は「自炊は健康のため。野菜をたくさん食べるため」でした。外食のほうが美味しいし、ひとり暮らしだと自炊すれば食材を余らせるからそれほど節約にもならないし、料理の準備に時間もかかる。そのため、在宅勤務中心のときでも週に2、3回しか自炊していませんでした。自分で作るより、大戸屋とかコンビニのお惣菜の方が美味しくて安くて皿洗いも不要です。
しかし、イギリスでは自炊した方が美味しいし、はるかに安上がり。ニンジンは8本くらいの袋が40ペンス。ケールもたくさん入った大きな袋が69ペンス。もちろん、1ポンド=100ペンスです。
しかも、その辺の八百屋じゃなくて、Sainsbury’sというイギリス大手の安めではないスーパーでです。
ただし、和食の食材は大手スーパーには売っていないので、わざわざアジア系のスーパーに行かねばならず、割高です(ぐすん)。
- I do not like broccoli. And I haven’t liked it since I was a little kid and my mother made me eat it. And I’m President of the United States and I’m not going to eat any more broccoli!
- エッセンシャル遺伝学・ゲノム科学(原著第7版)
コメント
ブロッコリーのあじの感じ方が遺伝子由来とは、知りませでした。りなさんはそのような知識、どこで学んでいるのですか?りなさんの物知りの一端ですね!ブログ引き続き拝見します。ありがとうございました。