ロンドンは「多様性のある街」だとよく言われます。
以前ブログで述べたように、40%近くが移民で、生粋のイギリス人でも白人、黒人、アジア人——と本当にバックグラウンドがばらばら。
こういう場所に住むと、価値観というものも十人十色で、もはや何が何だかわからなくなってきます。
例えば「美」。
「美しい」とか「綺麗」という言葉が意味を持たなくなります。なぜなら、人によって何を「美」と認識するかが本当に違いすぎるから。
まず、人種1によって、「美」の基準が異なっているように思います。
たとえば、白人は「日焼けした肌」を美しいと認識する層が一定数存在する一方で、アジア人や黒人では肌の色が薄いことを好む層がいます。日本人は特に「美白」などと称して、白い肌に固執している人が多い印象。
また、日本では基本的に良い印象を持たれない髭も、こちらでは一般的です。髭があろうがなかろうが、長かろうが短ろうが、それはそれぞれの好みです。長髪の男性もそれなりに多い。
女性ならば、ヒップより長い髪の人がたくさんいる。わたしも、髪の毛がかなり長かった時期がありましたが、それ以上に長い人がかなりたくさんいます。一方で、昔のブリトニー・スピアーズのような坊主頭の女性もいたり。
ちなみにわたしは正社員になるときに長かった髪をばっさり切りました。社会的に「不適切」なような気がしたので。まあ、単に気分を変えたかったというのもありますけれどね。
そして、ロンドンには奇妙なファッションをしている人もたくさんいます。そして、その「奇妙」なスタイルのいくつかは流行らしく、本当にたくさんの人がそのような格好をしています。
わたしはそれを全く「ファッショナブル」や「かっこいい」などとは思えないけれど、彼らにとってはそうなんだと思います。
あと、イスラム教徒の女性は全身を衣服で包んでいるので、すぐに見分けがつきます。しかも、かなり人数が多い。ショッピングセンターや繁華街で1分立ち止まっていると10人くらいはイスラム教徒の女性とすれ違います。地域にもよるかもですが。
大英帝国の名残でインドからの移民も多いので、ビンディーをつけている女性も多いですね。インドの女性が眉間の間につけている飾りやシールです。ウィキペディアによると「既婚で、なおかつ夫が存命中のヒンドゥー教徒の女性がつけるものである2」らしい。
そう、宗教も十人十色。そして、宗教が違えば価値観も異なります。
自身をatheistと称するイギリス人が増えているといえど、無宗教または多神教が文化のベースにある日本人・日本社会の感覚からは、キリスト教ないし一神教の影響は色濃く残っていますね。
キリスト教徒は服装の指定はありませんが、ロンドン中に教会があって、毎週日曜の朝に礼拝に行く人もそれなりにいます。有志で集まって聖書の勉強会とかもしています。
まだ、イスラム教徒の人とはひとりも出会っていないのですが、モスクもたくさんありますね。
あとは、ベジタリアンやビーガンも多いです。
どのレストランにもビーガンメニューが準備されています。あと、肉の種類が明記されていたり、選べるようになっています。
豚肉はユダヤ教やイスラム教では食べてはならないとされているので、その配慮なのだと思います。ヒンドゥ教だったら牛肉も食べませんね。ということは、ビーフカレーって日本独特なのかしら。
例えば、Epicというギリシャ料理のファストフード店があるのですが、ここでは、チキンかポークか選べます。本場ギリシャで食べたときは、肉を選べなかった記憶があります。
Epicは3回くらい食べましたが、けっこうボリューミーで美味しい。
そして、謎なのはコレ。
鹿児島の豚骨ラーメンの即席麺が売っていました。鹿児島出身だからか「鹿児島」という文字に反応してしまった。
のですが、よく見ると「Animal Free」の記載。つまり、ベジタリアンやビーガンの人でも食べられるということです。
豚骨ラーメンなのに、ビーガンでもOK? ん? これってどういうこと?
まあ、だから「とんこつ風ラーメン」と書かれているわけでしょうが、日本人の感覚からしてみれば奇妙ですね。
動物性のものを食したくないからベジタリアンやビーガンになったのだろうに、やはり味覚レベルでは動物性のものは美味しいから食べたいと思っているということですよね。それでわざわざビーガン用の「肉」を食べる。
肉が美味しいから肉を食べるという日本人のマジョリティの感覚からはかけ離れています。
ビーガンの母親が18ヶ月の息子にビーガン食しか与えず、死なせてしまった事件とかもあります3。第1級殺人罪として有罪になっているようです。
菜食主義は雑食として進化したホモ・サピエンスには、生物学的に好ましくない食生活でしょう。それなのに、菜食主義になることを選択をする人たちがいるのは興味深い。
最近、宗教を信じている科学者がいる理由や、科学や合理性と宗教が共存できる理由は理解できるようになったのですが、ベジタリアンやビーガンについてはまだ理解ができないので少し勉強します。
こういうことは日本にいたときは全く考えもしなかったですね。
日本の人口の大部分は日本人です。外国人と会うことの方が珍しい。しかし、ロンドンでは、毎日「外国人」と会います。というわたしも外国人です。それ故に、非常に興味深い経験ができています。
ロンドンのような街に住むと、何をロールモデルとするか、何を目指して行動するか、自分のアイデンティティはどのようなものか——そういう考えをしっかりと持っていないと混乱して訳が分からなくなります。
わたしも自分のアイデンティティや価値観を見つめ直している日々です。
コメント
ロンドンの多様性に関するブログ拝見しました。本当に色々な人がいますね!だからこそ自分を主張しないと埋もれてしまいますね。ロンドン生活時、weridなイギリス人多いとよく思いました。ただ自由度は大変高いですね。ロンドンの多様性、私は大好きです。安宿に住むイギリス人から爵位を持つイギリス人までお付き合いしましたが、個性豊かな社会だと痛感しました。ロンドン生活満喫くださいませ。りなさん、いつも応援しております。
先に記したコメントの補足です。ロードという爵位のイギリス人とは、メイフェアーにあるコンノートと言う高級ホテルで会食しました。そこで驚いたのは、ホテル内の案内が英語ではなく、フランス語だったのです。私がトイレを探したら、案内がフランス語でどちらが男性用かわかりませんでした。英国の上流階級は今でもフランス語を嗜む様な感じしました。今でもコンノートホテルあると思いますが、大変型苦しい感じで、レストランの他の客も奇妙な髭の紳士とあまり、普通の人ではなさそうな人物でした。ロンドンには、色々な人物が居ると思いました。値段も高過ぎなので、私はもう行きませんが、りなさんがメイフェアーをお散歩したら、コンノートホテル見てみて下さいませ。外見はそれ程豪華ではないです。ただ地方のロード達の定宿の様です。私の滞英経験記して見ました。失礼いたしました。