フットボールの才能があれば地の果てまでもスカウトが追ってくる

先日、プレミアリーグ関連の仕事をなさっている方とお会いしました。日本人です。

わたしはアレックス・ファーガソンが引退するまではマンチェスター・ユナイテッドのファンでした。ライアン・ギグス、ポール・スコールズ、ルイス・ナニ、アントニオ・バレンシア、チチャリート、このあたりが活躍していたときが好きでした。あ、ルーニーもいた。

4-4-2のユナイテッドの戦い方が好きで、トップ下の香川は不要だと思っていたので、彼の移籍には反対でした。日本は香川のユナイテッド移籍に沸いていたけれど、私は日本人だからといって、問答無用で日本人を応援はしません。侍ジャパンの試合も見ません。

ファーガソンが引退した後は、大学生になった時期と被ったこともあり、他に面白いことがたくさんあったので、フットボールに興味を失いました。

まあ、こんな話をして、これが理解できる日本人は、そこそこのフットボールファン、プレミアリーグファンであるわけです。三笘選手を応援しにブライトンに行く日本人とはちょっと違う。まあでも、このくらいの知識は同世代のイギリス人かつ男性だったら、9割方、通じるので、「常識」の範囲内のようですが。

ともかく、これだけ述べれば、フットボール関連の仕事をしている人が、わたしが「にわか」ではないと思うためか、いろいろフットボール業界の裏事情を話してくれたりします1

面白いと思ったことのひとつは、プレミアリーグやリーガ・エスパニョーラのクラブのスカウトは世界中にうじゃうじゃいて、情報網を形成しているらしいということ。

メッシがアルゼンチンの地元のチームでプレーしていて、彼の天性の才能の噂をバルセロナのスカウトが耳にし、それから入団に至ったという話は有名ですね。

フットボールにおいては、才能があれば、開花できる環境が整っているのではないかと思います。

例えば、ブンデスリーガの4部とか5部とかだったら、そこそこ才能あれば選手になれるし、選手になったら日本のサラリーマン程度の給料はもらえるそうです。J2の選手で、ほとんどボランティア状態の日本人選手とはかなり待遇が異なります。そのため、日本人もそれなりブンデスリーガ下部リーグには挑戦しているようですね。わたしがこの話を聞いたのは、5年ほど前なので、今はどうかはわかりませんが。

また、フットボールの才能が開花しやすい理由に、情報社会であることが挙げられます。

一昔前は眠れる才能を持て余していたり、ダイヤモンドの原石が磨かれることなく埋もれてしまうことが多々あったのではと察しますが、現在では情報が一瞬にして世界を飛び交います。

突出した才能を見せれば、すぐにその情報は(文字通り)光速で地球の裏側に到達し、スカウトは選手獲得のためなら地の果てまででも飛んでいくらしいです。

才能を持った少年が、イギリスにいようが、南米にいようが、日本にいようが。

ヨーロッパでは、フットボールは本当にお金を生んでいますね。チケット代やグッズ購入はもちろん、閑静なパブもプレミアリーグの試合がある日は激混みです。スタジアムは試合がない日も、観光客が訪れます。

だから、フットボールにおいては、「スカウト」が職業として成り立つので、才能が埋もれないんですよね。

ならば、テニスはどうかというと、ちょっと難しいかもしれない。

個人競技ということもあるし、テニスはフットボールやその他スポーツよりも、技術と戦略がモノをいうため、子どもの天性の勘だけでは難しいスポーツで目立ちにくいと思います。

イギリスでテニスをする機会を常に求めているが故、誘われたら基本的に断りません。そこで、テニスを3、4回しかしたことのない運動神経の良い男性とプレーしてみたのですが、わたしが2勝0敗でした。力や運動能力で圧倒的に勝っていても、テニスでは女性に負けちゃうんだなあ。あ、ちなみに相手はイギリス人です。

また、試合中に自分で戦略を考えたり分析したりしながらプレーしないといけないので、テニス選手はかなり頭がいいと思います。

フェデラーもジョコビッチも何カ国語も話せますね。彼ら、テニス選手じゃなければ、余裕で通訳になれてます。

この動画、2年前くらいに見て、非常にすごいなと感心しました。フェデラーは4カ国語を自由に使いこなしています。

ナダルも、かなり英語が上手くなりましたね、最近は。あ、ナダルに失礼かな。ちなみに、わたしはナダルの大ファンです。

また、テニスはお金がかかります2。試合で勝ちたいと思わず、運動不足解消や趣味でラリーというだけなら、それほどお金はかかりませんが、勝つにはかなりの軍資金が必要です。親がお金持ちorスポンサーがつくなどのしていないと選手生活は送れません。

ともかく、テニス選手は非常に器用な方々であり、技術や戦術がモノをいうため、スカウトが一目見て才能を発掘できるようなスポーツではないとは思います。

なので、テニスにおいては才能が埋もれやすい傾向があると思います。

世界一のプロになるような選手でも、その人がテニスに本当に才能があるかどうかの判断は難しい。ナダルがサッカーかテニスか迷っていたという話は有名ですね。もし、サッカーを選んでいたらと思うと恐ろしい。

このように、才能が発掘されやすい分野、才能が埋もれてしまいやすい分野というのはあると思います。

サイエンスは才能が発掘されやすい分野だと思います。日本の義務教育、特に高校の普通科はかなり難しいところまで理科と数学に踏み込んでいますね。他国と比べて。

だから、このあたりがさらりと理解できて、難なく難関大学に入学できる才能ある学生は、奨学金ももらえ、科学者としてステップアップしやすくなっています。ある意味で「レールが敷かれている」。

他国でも、義務教育がそこそこ高度なレベルでしっかりと提供されている国では、ざるの目が「金」を取りこぼす可能性は非常に小さくなると思います。

社会問題や環境問題などを語るときに科学は悪者のように扱われることがありますが、実は逆で、科学しかこのような問題を解決できないと思います。科学がなかったら、人類は中世ヨーロッパくらいの文明レベルで終始していたと思います。

そして、中世ヨーロッパは辛い時代ですからね。飢饉に翻弄されたり、ペストとかが流行りまくっていたり。このmiserableな状態から人類を救ったのはサイエンスだといって過言ではありません。

サイエンスやフットボールのような才能が埋もれない仕組みづくりを各分野で行うことが、人類がさらに発展してさらに豊かになるために必要なのではないかと思います(と、大きなことを言ってみた)。

今回の渡英では、まだフットボールスタジアムに行っていないので、以前、スタンフォードブリッジに行ったときの写真を。

フェルナンド・トーレスとかダビド・ルイスとかいるし、モウリーニョが監督してる時代です。

Lina (ライター)
早稲田大学卒業後、新卒でフリーランスライターとして活動開始し、現在はロンドン在住。ブログやYouTubeでも情報発信中。鹿児島出身、趣味はテニス。
  1. ちなみに「にわか」でもいいと思います。わたしは水彩画が趣味ですが、これは完全ににわかです。たまに絵を描くのは単純に楽しいです。ただ、水彩画の理論とか筆遣いとか作法とか技能とか全く知りません。YouTubeは色々動画見てます。
  2. ガットは3ヶ月に1回は張り替えないといけないし、ガットそのものも2000円〜7000円くらいします。プロだと、毎週新しくガットを張ったラケットを使っているはず。テニスラケットもそこそこ消耗品だし、テニスコートで練習するのもお金がかかります。自分に合ったラケットを見つけるためにも、いろいろなブランドやガットを試す必要があるので、本当にお金がかかるスポーツです。

コメント

  1. ブログ拝見しました。ロンドン滞在時はTVでスポーツを観戦する程度でした。りなさんはウィンブルドンに行かれ、直接観戦されているなど関心が高いですね!折角ロンドンに居るので、地の利をいかされると宜しいですね。ロンドン生活満喫くださいませ。ブログありがとうございました。