最近は「簡単」なことが売りになっている時代ですね。「●時間で学べる■■学」とか「誰でもわかる●●」とかそういう類いの書籍が多いです。
しっかりと情報が記載された「難しい」書籍に、「理解できなかった」という理由で、低評価のレビューがついたりしています。しかし、理解できる人には理解できるものであり、そうでなければ出版社から出版されません。編集者はそんなに無能ではないと思います。会社や自分の売上に関わってくるのですから。
YouTube動画も複雑な話題よりも、簡単でわかりやすいものが好まれ、再生回数が多くなっている印象です。
これはYouTubeの問題点ですね。本当にしっかりと情報提供をしている動画よりも、面白い動画のほうが再生回数が伸びて、評価が高くなる。
でも、本当に学ぶ価値のあることや、スキルとして向上させる価値があることって、複雑で難しいんですよね。そのため、だれでも達成することができないから価値がある。本当に価値があるものは、それを学んだり作ったりする過程のほとんどが面白くないものが多い。
しかし、難しいと面白くなくなって、面白くないとお金が稼げないため、世の中は簡単なものに傾倒する傾向があるようです。よって、簡単なものが過大評価されている気がします。
それに、だれもが面白いと思えることは、難しいことを理解した先にある楽しさにはかなわないと思います。
楽しい科学、なんていうだれでも前提知識もなく読める書籍が数多くあるけれど、本当に科学が楽しいのは、そういう小手先の楽しさではなく、楽しくない難しい科学を長く勉強しているその時々に、ふと「わあすごい」と思えるようなことに出会ったときです。こういう楽しさは、たくさんの面白くない勉強をしたその先にしかありません。一言で伝えられるものではありません。
ダークマターについて論じるときに、そもそもダークマターを知らない人にはダークマターの解説からはじめなくてはいけません。これは面倒で、面白くないし、感覚的には理解できないことでもあります。
政治にも当てはまるのではないでしょうか。しっかりと解析・分析をして複雑で難しいことをいう政治家よりも、簡単でわかりやすいことを言う政治家に票が集まります。
簡単なことが評価される時代を生きるのは大変そうです。
コメント
ブログ拝見しました。りなさんは聡明な方かつ正直な方ですね。確かに日本では、安直な本が多いと思います。私も昔は、法律書など目をとうしていました。今は簡単な旅の本などしか、普段は読んでません。あ、今はりなさんのブログ読んで、楽しんでます。と言うことで、またりなさんの分析と見解を楽しみに待ってますね。ありがとうございました。