「賢い人は英語ができない」動画の舞台裏

わたしはテニスが趣味です。ロンドンではブログに書いているとおり諸事情あり、あまりテニスを楽しめていなくて悲しいのですが、日本では週2回はテニススクールに通い、コーチをつけて練習をするほど、かなりはまっていました。

そこで、コーチや草大会で対戦した上級の人に「本当に上手いですね」と言うと、「いえいえ、自分なんて全然です」というような反応が返ってきました。最初は謙遜しているのだと思っていましたが、実は本当にそう思っているようです。

これは、長年テニスをしていて、テニスの難しさを熟知していて、上級者と試合で対戦して負け続けてきた経験があるため、本当に「自分は全然上手くない」と思っているのです。もちろん、初心者と比べたら上手いという自負はあるとは思いますが、自分より上手い人をたくさん見ているため、「自分はまだまだだ」「自分は才能がない」と思っているようです。

一方、初心者クラスでテニスレッスンを受けている人は、周りも皆初心者だから、少し運動神経が良くて上達が早かったり、良いショットが打てるようになったりすると、自分はテニスができると思ってしまう。

能力が低い人は、能力が低いから、自分のレベルを正しく評価できない。

これは、ダニング・クルーガー効果と呼ばれます。認知能力が低かったり論理的に考えることを苦手としていて自分の能力を正しく判断できない場合もありますし、テニスの例のように、技術の未熟さや経験の浅さから自分の能力を正当に評価できない場合もあります。

プロでもこれは言えますね。今年のウィンブルドンでわたしが応援していたルーネ選手がジョコビッチと対戦したのですが、ストレート負け。負けた後、彼は「今日は自分は陰だと感じた」とインスタに投稿していました(記憶が正しければ)。ルーネ選手は今年のジャパンオープンで錦織選手に勝利しています。プロは、さらなる格上と対戦するので、「自分はまだまだだ」と思ってしまう。そういう適切な認識ができているから、プロはプロなのだと思います。

動画を編集していて、ダニング・クルーガー効果は英語にもこれが当てはまると思いました。動画内でダニング・クルーガー効果について話せばよかったなと思っているところです。

翻訳や通訳を仕事にしている人ほど、難しい英文を訳すので、外国語を習得する難しさを知っているはずです。また、バイリンガルの人も知っているように思います。なぜなら、バイリンガルは大概、ふたつの言語のうちひとつがより流暢に話せるからです。流暢に話せる言語は、教育を受けた言語である場合がほとんどです。

両親が日本人でも、イギリスの学校に通っていたり、インターナショナルスクールに通っていたりしたら、英語の方が上手くなります。わたしは日本で塾講師をしていたときに、インターナショナルスクールに通っている生徒に国語や算数を教えたことがあるのですが、日本語を流暢に話せていても「長方形」や「幕府」なんて言葉を知らないのです。家族との日常会話では使わないですからね。もちろん、英語ではrectangle、shogunateという言葉は知っています。

話を動画に戻すと、今回のロケ地は西ロンドンのChiswickです。地下鉄からのアクセスが良くなくて、あまり行ったことのないエリアだったのですが、今回まともにお散歩してみました。秋のロンドンは風情がありますね。テムズ川沿いと公園は綺麗でした。ロンドンには緑がたくさんありますね。川沿いには高級住宅地なのか別荘なのか、そんな豪邸が建ち並んでいました。

進化生物学について話している部分はRunwayのAI動画生成ソフトを使用しているか、アフリカの映像を拾ってきました。自分で撮影した部分とそうでない部分を区別したかったので、上下に黒帯を配置しました。

動画内で、日本人は自分の意見を言うことに慣れていないと話していますが、昨日はロンドンではデモがありました。デモがあることは知らなかったので、デモの反対側に横断することができず困りました。

警察も出動しての警備体制。

前回、わたしが遭遇したのは新パレスチナ派のデモでしたが、こうして一致団結して自分の意見を述べている人たちを見ると、強く印象に残ります。日本では、こういうデモは起こらないでしょうね。

わたしは、Stop the far rightという言葉を見たので、極右反対のデモだと思っていましたが、これは一部だったようで、実は極右のデモが行われ、さらにそれに反対する極右反対のデモが行われていたようです。それ故、衝突が起こらないように、異様に警察が多かったようです。意見を言わないのも、言い過ぎるのも、どちらも問題があるかもしれません。あと、ハロウィーンが近いこともあり、コスプレをした人たちが街に溢れていました。

わたしはコスプレなどはせず、日本に住んでいるときからのイギリス人のお友達L氏とおとなしくディナーをしました。L氏はスコットランドに住んでいて、フライトのために1泊だけロンドンに宿泊。ロンドンには何度も来ているので観光はしないと言っていたのですが、MayfairとKing’s Cross周辺を案内したら「ロンドンにこんな場所があったとは」と言っていました。「現地に住んでいる人にお友達がいるっていいでしょう」と、イギリス人に対してはじめて言いました(どやどや)。

スコットランド、まだ行っていないのだよな。そろそろ行こうかなあ。