イギリス大学院について言及するべきことはいろいろあるけれど…

イギリスに来て、日本人と出会って、最初の質問のいくつかには「どうしてイギリスに来たのですか」という質問です。必ずと言ってもいいほどそうです。

ほとんどの人は、一言、「仕事です」「駐在です」「起業です」「研究です」「留学です」「YMSです」etc.

これが、わたしの場合は少し面倒なのですよね。

わたしは、大学院留学をするための渡英予定でした。でも、物価高になり、円安になり、学費の支払いが厳しく、大学院進学を断念して、YMSで渡英することになりました。

フリーランスとしていくらかは収入が見込めるかなと思ったのもあり、イギリスでは日本の正社員の平均収入以上をアルバイトでも稼げるので、渡英しても生きていけるでしょうと踏みました。

詳細は以下で語っています。

このような経緯で渡英しているため、単に「YMSです」というのは、あまり正確ではないのです。

「フリーランスライターなので、どこでも仕事できるので、YMSでイギリス来ちゃいました」と言うことが多いですし、ロンドンでわたしに直接お会いしたことのある方は、わたしからこの発言を聞いたことかと思います。

でも、人があえて選んで住む国を変える理由の実際は、一言で説明できるものではありません。

離婚の理由とかも同じだと思います。「不倫」「ギャンブル」「借金」などと一言で言えるように思えても、不倫されても、ギャンブル癖があっても、たくさん借金があっても、離婚しないカップルもいます。

それが一番割合の大きい理由、または直接のきっかけであるかもしれないけれど、ほかのたくさんの不満や憂いが積もり積もっての総合的に鑑みた結論としての「離婚」だと思います。

わたしの渡英もそうです。ワーキングホリデーなら、カナダでもオーストラリアでもよかった。ヨーロッパが良ければ、フランスやスペインもあります。あえて、気候も食事もよろしくないイギリスでなくてもいい。ヨーロッパで英語圏だったらアイルランドとかもあります。あと、オランダもほぼ英語圏と言ってよいのではないでしょうか。

「簡単」「シンプル」が求められている現代ですが、現実はもっと複雑怪奇な森羅万象の集合体なのです。

アイキャッチの写真はウェストミンスター寺院です。戴冠の椅子が見られたのが素敵だった。

あと、ウェストミンスター寺院内の特別展The Queen’s Diamond Jubilee Galleries(長い. . .)では、メアリー2世の戴冠の椅子が間近で見られました。彼女は夫・オラニエ公ウィレムと共同統治(王様と女王様が同時に存在してふたりで統治する)という形になったので、戴冠の椅子が2つ必要で、彼女用に新たな椅子が作られたのです。

様々な利害関係が絡み合った末の共同統治という結論。歴史も複雑怪奇な森羅万象の集合体です。

王と女王が同時に存在するなんて、イギリス人は臨機応変だなあと思います。君主はひとりでなくてもいいんですよね。夫婦で意見が割れたときはどうしたんだろう。

でも、おそらくウィレム(イングランド王としてはウィリアム3世)のほうが権力が大きかったのだろうと思います。まず、彼は強力な軍隊を持っていました。イギリスを名誉ある革命に導いた軍隊です。そして、彼は男性です。

伝統的な戴冠椅子に座ったのは、王位継承権の高いメアリーではなく、イギリス王家の遠戚のウィレム。それは、メアリーが女性だったからか、彼女が夫を立てたからなのか、それとも他の理由か、それとも森羅万象の集合体としての結論か。このあたりちょっと気になる。

あ、わたしはフェミニストではないので、女性のメアリーが急ごしらえの戴冠椅子に座ったことには特に異議はないです。いろいろ事情があったのだと思います。

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